日本料理の特色は、まず一番に季節感です。
日本の周りは全て海、亜熱帯から亜寒帯まで細長い島国に暖流と寒流が寄せてくるところから春夏秋冬それぞれの季節に種々の海の幸、山の幸が取れます。
季節の素材の持ち味を極限まで生かし、走り・旬・名残りと三様に賞味する日本料理が生まれたのは、正にこの自然の恵みによるところでしょう。
日本料理店は、日本の伝統工芸品、伝統芸能、そして伝統文化によって育まれた” 設え(しつらえ)” の中で仲居さん、女将さん、さらに芸者衆というおもてなしのプロの方々のサービスによって日々営まれております。
江戸時代の料理屋は餐応料理といわれる本膳料理を基本にした手間暇かけた豪華で品数豊富な料理でした。また一方、蒲焼・鮨・泥鰌(どじょう)・焼鳥・鮟鱇鍋(あんこうなべ)など庶民のための食べ物にも喰い味や栄養を吟味した優れた料理がありました。
料亭の起源は、18 世紀後半” 御留守居茶屋” と呼ばれた料亭が各藩の御留守居役により幕府の高官や他藩との接待、折衝に利用された頃に始まるとされております。
料亭で出される酒宴を中心にした料理を会席料理といい、茶会で出される料理は懐石料理といいます。現在の東京では、伝統ある江戸前料理の良いところは残して、関西料理の良さも謙虚に取り入れた東京日本料理の他、京料理、金沢料理等の郷土料理も進出してきておりますので、日本全国の料理が楽しめる様になりました。